Special Interview:Risako Hayakawa
Bunkamura ORCHARD HALLの御好意により、「N響オーチャード定期 第26回 2003年9月23日」のプログラムより、早川さんのインタビュー記事を写真とも全文転載させて頂きました。 会見記事へ
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「フルートとハープのための協奏曲」は最初から最後まで“幸せ一杯”な作品   
早川りさこ
今回は、1曲目にオーケストラで演奏した後、すぐにソリストとして登場することになりますね。聴く側としては、マーラーも早川さんをフィーチャーした曲という捉え方ができますが、演奏される方は大変なのでは?

そうなんです。プロ・オケで両方やるのは初めて。衣装を着替える時問もないですしね(笑)。

ソリストとしてN響と共演されるのは?

入団する前の99年に共演していますが、団員になってからは今回が初めてです。

N響に入団されたいきさつは?


卒業以来、ソロや室内楽の活動の他、N響にエキストラでたびたび演奏会に参加していたのですが、ハープソロの作品は残さなかった作曲家の作品に触れる事が出来たり、また、100人でひとつの音楽を作る楽しさを知り、入団したいと思いました。丁度、その頃オーディションがありました。

ソロとオーケストラの違いはどんなところでしょう?

例えていえば、ソロは「1人で1枚の絵を書く」のに対して、オーケストラは「全員で1枚の絵を書く」というところですね。オーケストラでは奏者ごとに色があって、共同で1枚の絵を書き上げます。どんな色合いになるのか、毎回とても楽しみです。奏法的にもソロとは少し異なりますので、タッチなども変えています。

今後やってみたい曲などはありますか?

ドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」、素敵な曲なのですが、コンサートではあまり演奏されません。ぜひオーケストラでやってみたいですね。それとカプレの「赤死病の仮面」、アラン・ポーの物語を元にした作品です。

ところで今回の「フルート、ハープ〜」については?

最初から最後まで“幸せ一杯”な作品。ただハープに関してはかなりピアニスティックに書かれています。技術的にはとても難しいですね。ハープは弦をしならせて指を放すという動作が一音ごとに必要ですので、音階ひとつにしても大変です。でも「今回はこうしてみようか」と弾く度にアイディアがわいてくる曲でもあります。

特に聴いて欲しいところなどは?

全てが聴きどころですし、終わった時に笑みがこぼれるような感じで聴いて頂ければと思います。あえてあげれば第2楽章でしょうか。優雅で天国的な気分が味わえると思います。あとこの曲は、柔らかくソロを終えるとオーケストラも柔らかく始まり、勢いよく終えると勢いよく始まるといったように、ソリストのニュアンスがオケにも伝わる曲なのです。そういった受け渡しの妙味に注目されるのも面白いかもしれませんね。

カデンツアは、どなたのものですか?

全楽章ライネッケのもので演奏します。最近はあまり演奏されない2楽章ですが、とても美しいものです。

ご自身のカデンツアを演奏されることは?

うーん。それはまた次回。

(2003年9月3目、Bunkamuraにて)インタビュアー:柴田克彦(音楽ライター)
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