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ハインツ・ワルベルクさんは2004年9月29日に逝去されました。このオーチャードホールでの印象深い指揮は、今も心に刻まれています。謹んで、ご冥福をお祈り致します。
2004年9月23日のN響オーチャード定期は、ハインツ・ワルベルクさんの指揮とN響、ソリストの演奏が一つに溶け合って、心に残る名演となりました。
マーラーのアダージェット(名匠とN響が生み出した何という深みのある演奏!)で印象的なハープの音色を響かせた早川さんは、続いてすぐに青い衣装を着て登場し、ソリストとしてモーツァルトに臨みました。衣装を着替える時間がないので、オケの黒服の上に青いワンピース様の服を纏うというナイスアイデア。色合いがとても素敵でした。
今までにも何度も協演している名手工藤重典氏との息の合った演奏は、満場の客席を魅了しました。ソリストの聴かせどころのカデンツァ、今回は全楽章ライネッケのもので、特に第2楽章の美しさは特筆ものでした。
早川さんがこの日使ったハープは、高音域がクリアな愛用の自前の楽器です。N響はオーチャードの演奏が終わるやいなや、翌日からの西日本方面の同プログラムツアーに出発しましたが、早川さんは自前のハープと普段オケで使っているN響のハープ(こちらは中音域が豊か)の両方を持って出発しました。ホールの音響によって使い分けようということです。
ツアーから帰った早川さんの話によると、マエストロは、このツアー中、非常にご機嫌で、本番直前の舞台袖で早川さんや工藤さんにしきりに話しかけたり、打ち上げの席でも、とてもお話が弾んでいたそうです。ソリストの誉め方も毎回熱がこもっていて、三好ではマエストロ自ら舞台上で「ブラボー!」と発せられたそうです。(指揮台に元気よくピョンッと飛び乗られたり、本当にお元気で明るいマエストロだったと管理人も思います。)
Concerto for Flute,Harp and Orchestra in C-Major,K.299
 モーツァルトが作曲した曲は数あれど、ハープが登場するのはこの曲のみ。 モーツァルトはパリで、ド・ギーヌ公爵から娘さんの結婚祝いに贈る曲を頼まれ、この曲を作りました。 公爵はフルートを、娘さんはハープを演奏していたことから、「フルートとハープのための協奏曲」となったのです。
 フルートのパートは公爵の特別製の楽器(当時の一般のフルートよりキーが5つ多い)に合わせて作曲されたもので、当時のフルートでは演奏できない曲だったそうです。
 また、ハープのパートは、ハープのためというより鍵盤楽器のためのように作曲されており(当時のハープは、まだ不完全な楽器だった)、軽やかで美しい旋律に満ちているものの、ハーピストにとっては演奏の大変難しい曲となっています。
 (吉田雅夫さんの「フルートとハープの為の協奏曲のお話」1994年/神埼愛ロマンティック・フルートの世界プログラム所載/を参考にさせて頂きました。このときのハーピストも早川さんでした。)
Bunkamuraさんから、この日の演奏写真(©K.Miura Bunkamura)をご提供いただきました。
写真館に掲載してあります。赤い薔薇をクリック!

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